と、おまけ。/それはさすがにどうなのか
「と、おまけ。」同人誌版の書き下ろしだった短篇です。「きまずいふたり」の後のお話になります。 「それはさすがにどうなのか」バレンタインデーの佐山と秋口の話。以…
「と、おまけ。」同人誌版の書き下ろしだった短篇です。「きまずいふたり」の後のお話になります。 「それはさすがにどうなのか」バレンタインデーの佐山と秋口の話。以…
「ケイ、この本読み終わった!」「うっ」 どすん、と元気よく背中に体当たりされて、廊下の雑巾がけをしていた広瀬は危うく顔から木製の床に倒れ込みそうになった。 ど…
糸賀さんが好きだったというバンド→「ラ・ムー」 伝説のロックバンドだそう。邦楽? 洋楽? あんなにベタ褒めしてる糸賀さんを初めて見た。 「とにかくものす…
気づいたら繋いだ手が離れていた。 大晦日、二年参りに行こうと、大好きな従兄と、その両親と一緒に近くの神社へ出向いた。 思った以上に人出が多くて、「絶対に離し…
「おい、起きろ」 頭をひっぱたかれて目が覚めた。「痛ぇ……なに……」 叩かれた後頭部をさすりさすり、うつぶせになっていた体を少しだけベッドから起こす。見上げる…
「どうしてそんな態度なんだか理解不能なんですよ」 横でぶつぶつと呟いている低い声に、御幸はもう相槌を打つ気も起きなくなっていた。「あの人何であんなに頑固なんだ…
唖然、という表現がもっともぴったりだっただろう。 佐山も、御幸も、そして秋口も、目と、すぐには言葉の出ない口を開いている。「あれ、どうかしました?」 唯一、…
エレベーターでばったり秋口と乗り合わせた。「あ」 先に秋口が乗っていたところに、佐山が後から乗り込む形だ。タイミングがいいのか悪いのか、他に乗客はいない。多…
(そうだ、金下ろさないと) 忙しさにかまけていたら、財布の中身がすっかり寂しくなっていた。 珍しく、奇蹟的に定時に仕事を終えて会社を出た平日の夕方、佐山は自宅…
七時に仕事が終わりますとメールが来たので、しばらくの間迷った挙句、やっと『了解』と短い返事を送り返す。 送信完了の表示を確認してから、佐山は携帯電話を折りた…