性格の悪いサラリーマン(俺さま24歳)×普通のサラリーマン(地味メガネ腕カバー27歳)の恋。※R18
こころなんてしりもしないで
会社で女子社員に人気の後輩・秋口に恋をした佐山。
佐山の元彼女・雛川の口から名前が出てきたことが気に障って佐山に近づく秋口。
妙な流れで一緒に飲みに行く日が続き、意図しないままに距離が近づくのに、心は擦れ違いまくりの二人。
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恋心というものは、どうやら意識なんてしてもしなくても勝手に芽生えてしまうものらしい。 たとえそれが同性、これまで恋愛対象に入るなんて思ってもみなかった『男』 …
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総務部の雛川沙和子と言えば、同じ女子社員からすら憧れの眼差しで見られるマドンナだった。 今どきマドンナなどというふたつ名を誰もが平然と口にするくらい、彼女 …
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たしかに秋口と組んで仕事をすることにはなったが、前任の青木とかなりの部分まで作業を終えていたたため、佐山が秋口と頻繁に打ち合わせなどで顔を合わせる必要はな …
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「秋口、佐山との仕事、どうだ?」 自分の机で書類を書いていたら、青木がやってきてそう声を掛けてきた。「どうって、まあ、特に滞りもなくって感じですかね」 手を …
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土曜日、日曜日と、いつもより楽な気分で過ごすことができた。月曜日になればまた秋口の姿を見ることができると思ったら、少し倖せな気分になる。 金曜のトラブルの …
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自分が佐山を誘い続けている限り、沙和子に言い寄るチャンスはない。 そう理由づけて、秋口は翌日も佐山に声をかけた。「ごめん、今日は残業してかないと」 昼休み …
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(痛い) 鈍痛で目が覚めた。 ずきずきと、脈打つようにこめかみの辺りが痛んでいる。胃が重たくて、気持ち悪い。喉から胃液が逆流してきそうだ。 こんな感触には覚 …
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九月に入ると、佐山は三日間だけ夏休みを取った。御幸は土日と有給を利用してもっと長い休みを取るよう主張したが、仕事が詰まっていることを理由に、佐山は結局短い …
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秋口が会社や外の女の子と会っている様子は、佐山にもすぐわかった。 もちろん秋口本人が佐山に宣言するわけではないけれど、もともと社内でも噂話の種にされること …
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気持ちが落ち着くまで秋口と話すのをやめておこうと思ったら、一週間彼を無視しつづける羽目になった。 多分、話し合う状態じゃない。自分も秋口も。まともに話そう …
こころなんてしりもしないで2・きまずいふたり
どうにかこうにかお互いの想いが通じ合った…はずなのに、どうにもこうにも気まずい二人。
秋口そっくりな男・縞が佐山の前に現れ、さらに拗れまくっていく。
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七時に仕事が終わりますとメールが来たので、しばらくの間迷った挙句、やっと『了解』と短い返事を送り返す。 送信完了の表示を確認してから、佐山は携帯電話を折り …
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(そうだ、金下ろさないと) 忙しさにかまけていたら、財布の中身がすっかり寂しくなっていた。 珍しく、奇蹟的に定時に仕事を終えて会社を出た平日の夕方、佐山は自 …
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エレベーターでばったり秋口と乗り合わせた。「あ」 先に秋口が乗っていたところに、佐山が後から乗り込む形だ。タイミングがいいのか悪いのか、他に乗客はいない。 …
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唖然、という表現がもっともぴったりだっただろう。 佐山も、御幸も、そして秋口も、目と、すぐには言葉の出ない口を開いている。「あれ、どうかしました?」 唯一 …
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「どうしてそんな態度なんだか理解不能なんですよ」 横でぶつぶつと呟いている低い声に、御幸はもう相槌を打つ気も起きなくなっていた。「あの人何であんなに頑固なん …