と、おまけ。/それはさすがにどうなのか
「と、おまけ。」同人誌版の書き下ろしだった短篇です。「きまずいふたり」の後のお話になります。 「それはさすがにどうなのか」バレンタインデーの佐山と秋口の話。以…
「と、おまけ。」同人誌版の書き下ろしだった短篇です。「きまずいふたり」の後のお話になります。 「それはさすがにどうなのか」バレンタインデーの佐山と秋口の話。以…
「佐山さん、雑煮食べますか」 ベッドの上で、未だ俯せに転がったまま動かない佐山に向けて、とりあえず秋口は声をかけてみた。 元旦、すでに昼下がり。 大晦日から佐…
「どうしてそんな態度なんだか理解不能なんですよ」 横でぶつぶつと呟いている低い声に、御幸はもう相槌を打つ気も起きなくなっていた。「あの人何であんなに頑固なんだ…
唖然、という表現がもっともぴったりだっただろう。 佐山も、御幸も、そして秋口も、目と、すぐには言葉の出ない口を開いている。「あれ、どうかしました?」 唯一、…
エレベーターでばったり秋口と乗り合わせた。「あ」 先に秋口が乗っていたところに、佐山が後から乗り込む形だ。タイミングがいいのか悪いのか、他に乗客はいない。多…
(そうだ、金下ろさないと) 忙しさにかまけていたら、財布の中身がすっかり寂しくなっていた。 珍しく、奇蹟的に定時に仕事を終えて会社を出た平日の夕方、佐山は自宅…
七時に仕事が終わりますとメールが来たので、しばらくの間迷った挙句、やっと『了解』と短い返事を送り返す。 送信完了の表示を確認してから、佐山は携帯電話を折りた…
気持ちが落ち着くまで秋口と話すのをやめておこうと思ったら、一週間彼を無視しつづける羽目になった。 多分、話し合う状態じゃない。自分も秋口も。まともに話そうと…
秋口が会社や外の女の子と会っている様子は、佐山にもすぐわかった。 もちろん秋口本人が佐山に宣言するわけではないけれど、もともと社内でも噂話の種にされることの…
九月に入ると、佐山は三日間だけ夏休みを取った。御幸は土日と有給を利用してもっと長い休みを取るよう主張したが、仕事が詰まっていることを理由に、佐山は結局短い休…