ロマンチストなろくでなし番外編
トラブルメイクでろくでなし※R18 PDF版およびEPUB版をBOOTHで販売中。メンバーは以下のページで全話閲覧可能です。
トラブルメイクでろくでなし※R18 PDF版およびEPUB版をBOOTHで販売中。メンバーは以下のページで全話閲覧可能です。
割と最近、本編というか「ロマンチストなろくでなし(新書館ディアプラス文庫)」が電子書籍かしたのもあって、完売して久しい商業誌番外同人誌からこのお話をデータ化してみました。 何もかも懐かしい。電書版…
目が覚めた瞬間、体中にものすごい違和感と疲労感と軋むような痛みを感じて、和志は思わず呻き声を上げた。「うー……」 瞼を開こうとしたのに、うまくいかない。和志は片手で目許に触れてぎょっとした。 目の…
気づいた時には、寝室のベッドで寝ていた。 うっすらと記憶がある。あの部屋から伊勢が連れ出してくれて、タクシーでマンションに戻ってきた。 自分はずっと伊勢に謝り続けて、大丈夫だからと伊勢が応え続けて…
寧子が記録していた池袋の住所に、松島雅春という男はもう住んでいなかった。「大家さんに追い出されたのよ。何だかいっつもガラの悪そうな人たちが出入りしてるし、夜中中騒いでるし、あたしたちも迷惑してたの…
眠くて、自分がいったいどこにいるのか、どんな格好をしているのか、よくわからなかった。 視界がぼんやりと霞みがかっている。体も頭も重たく、思考が空転する。(気持ち悪い……) 和志は冷たくて居心地悪い…
何度携帯に電話をかけても、『電源が切られているか、電波の届かないところに――』というアナウンスが繰り返されるばかりだった。 和志が突然、『友人の家に泊まる』と伊勢にメールを寄越したのは一昨日の晩の…
「だからさー、いい加減メシ喰えって、なあ」 肩を少し乱暴に揺さぶられて、和志はぼんやりしたまま、膝に伏せていた顔を上げた。 心配そうな友人に、顔を覗き込まれていた。「昨日の昼から何も食べてないんだろ…
休憩時間や仕事帰りに店を回ったり、カタログを眺めたりしながら過ごしていくうち、着々とクリスマスイブが近づいてきた。 イブまであと二日と迫った十二月二十二日、今日は遅番だったので、勤め先を出る頃には…
伊勢へのプレゼントを選ぶために、和志は翌日の仕事帰りに店近くのデパートへ寄った。 あれこれ見て回ったものの、これというものも思いつかず、結局夕飯と夜食の材料だけ購入して家路につく。(鞄とか財布………
矢野和志が伊勢千暁と同居――同棲を始めてから、かれこれ三ヵ月ほどが経った。 寧子が伊勢のことを好きだという「誤解」も解けて、伊勢とつき合うことになった時、さすがに和志も自分がこれ以上寧子のマンショ…
街中が赤だの緑だの金色だので飾られて、きらきらし始めると、やたら気分が盛り上がるのは小さな頃からの癖だ。 ただし、その気分と同等の幸福が和志の許に訪れることなど、ほとんどなかったのだが。(クリスマ…