秘密-6<完結>

おうちのひみつ

 昼過ぎに起きると部屋の中に裕司の姿はなくて、嘉彦の荷物もすべてが片づいていた。池内のベッドも空だ。「……はは」 眩しい光が射し込む窓を見遣って、真実は泣き顔で笑った。 いつの間に眠ってしまったのだ…

秘密-5

おうちのひみつ

 あの夜から一週間もしないうちに、嘉彦の転校と退寮の手続きは整ったようだ。「来週、出てくんだ」 もとから荷物の少ない嘉彦の机やロッカーの周りは、もうちりひとつないほど片づいていたから、本人に宣言され…

秘密-4

おうちのひみつ

 嘉彦は大丈夫だろうか。 鴫野は出がけにああ言ったが、消灯時間を過ぎても嘉彦はまだ帰って来ず、点呼を済ませて部屋の電気は寮監の手で切られた。 部屋のベッドは三方の壁へ寄せて配置していある。真実の向か…

秘密-3

おうちのひみつ

 嘉彦は大丈夫だろうか。 鴫野は出がけにああ言ったが、消灯時間を過ぎても嘉彦はまだ帰って来ず、点呼を済ませて部屋の電気は寮監の手で切られた。 部屋のベッドは三方の壁へ寄せて配置していある。真実の向か…

秘密-2

おうちのひみつ

 反省室に泊まると言った嘉彦は、当然のように昼過ぎになっても部屋には戻って来ずに、昼食を終えて食堂から帰ってくる途中、真実は寮監のひとりに呼び止められた。「相沢、鴫野はどこに行った」「知りません、今…

秘密-1

おうちのひみつ

 学習机に向かって課題のテキストを開いていると、背後でドアの開く音がした。「おかえり」 振り返って見ると、部屋に入ってくる同室者の姿。 声をかけた真実に、同室者はにこりと笑みを見せて、静かにドアを閉…

秘密-イントロダクション

おうちのひみつ

 会いに行く、と短い手紙が来たのは夏の始まり頃。 懐かしい文字が、差出人不明の手紙として渡された紙の上に見えて、途端に涙が止まらなくなる。 たわいもないダイレクトメールに紛れさせる巧妙なやり方で、手…

おうちのひみつ番外編

おうちのひみつ

秘密 リクエストで書いた話。他作品とのコラボ?です。 登場人物 おうちのひみつ(おうちバイバイ)相沢真実…裕司の年子の兄。想いを寄せ合う弟と引き離され、全寮制の高校で生活している。相沢裕司…真実の弟…

朝のひみつ

おうちのひみつ

「おい、起きろ」 頭をひっぱたかれて目が覚めた。「痛ぇ……なに……」 叩かれた後頭部をさすりさすり、うつぶせになっていた体を少しだけベッドから起こす。見上げると、怖い顔がこっちを見下ろしていた。「何…