プロローグ

 夢の中で、時々夢を思い出す。
(誰?)
 起きてしまえば、それがどんな夢だったのかなんて忘れてしまう。
(思い出せない)
 空を飛ぶ夢だったと思う。
(覚えていようとしていたはずなのに)
 誰かと一緒にいる夢だったと思う。
 名前を知っていたはずなのに(ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ)
 ――誰かと、約束した夢だったと思う。
 けれども目が覚めれば、夢を見ていたことすら忘れてしまう。
 心に残るのは、何かに焦がれるような小さな想いだけ。
『夢』で交わした約束と、その意味を知るのは、この世でたったひとり――『彼女』だけ。
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