わたしもいつかサイトをもってみたいと夢見ているのですが、渡海さんのような作者さんでも生みの苦労はありますか?
わたしは渡海さんのオリジナリティあふれるキャラが大好きです。
決して他のかたを悪くいうつもりはありません。
それは先にお断りしておきます。
しかしネットサーフィンをしていると、ありがちなキャラにときどき出会います。
でも渡海さんの書かれるキャラはとても新鮮で、いつもこちらをわくわくさせてくれます。
というご質問です。抜粋だとニュアンスが伝わりづらい気がするのでちょっと長目に引用させていただきました、すみません。
まったくもって嬉しいご意見です、ありがとうございます。
そしてこの辺のご質問にお答えするのは、いろんな意味で、なかなか難しいと思うんですが…。
まず思うのは、誰かにとって「ありがちじゃない」キャラやお話であっても、誰かにとっては「ありがちである」っていう状況がありえるってことですね。
もちろんその逆も。
やっぱり「自分がどこかで見たことのある話」を書いてしまうのは、わたし自身がつまらないし恥ずかしいので、思いついた話がどれかと似てるなと思った時は、最初のイメージを残して、細かい設定とかを変えるようにしています。
↑これをやると、「わたしにとっては」「ありがちじゃない話」になるわけです。
でもまあわたしは世の中すべての本などを読んだわけではないので、どっかで設定や展開が被っちゃったりすることはどうしても出てきます。
それを踏まえた上で、わたしが書いたわたしにとって「ありがちじゃない話」を読んで「これはありがちじゃないな」と思ってくださった人は、わたしと読書傾向などが似ているということになるのではないでしょうか。
要するに、好みが合うと。
だから、書いたものをおもしろいと思っていただけてるんだろなと思います。
そしてこの回答は、多分ご質問の主旨とズレてんだろなという自覚もあります…。
む、むずかしいな。
ええと、
すごく傲慢な話で、言うのが恥ずかしいから滅多に言わないことなんですが、わたしは、人間は二種類に分かれるものだと思っています。
「物語」、もしくは「世界」を、「持っている人」と、「いない人」です。
単純に好みの問題でもあるので、言葉の選び方がおかしかったらごめんなさい。
わたしは、お話は、考えて作るものじゃないと思っています。
最初から自分の中に「ある」ものです。だからお話やキャラクターを作ること自体は、楽しいばかりで、苦しみはありません。勝手にできてそこにあるものですから。
そして、それを自分の中から取り出して、小説を書いている人なら言葉に、絵なら絵に、映像、音楽、お芝居なら、それらに変換する作業は、辛くて苦しいものです。
生みの苦しみはここにあります。
という前提で…
世界を「表現する」ためではなく、「作る」ために苦労している人は、そもそも世界を「持っていない人」なので、そういう人の作ったものを見ても、わたしの場合はですが、物足りなく感じます。
自分の物語を持っていない人は、すべて人からの借り物なので、「どこかで見たような話」になります。
まあ、「オリジナル」はすでに潰えて模倣のみが残っていると言われる時代ですので、パーツは「絶対に誰も使ったことのない素材」にはなり得ないんですが、「誰かが使ったこのパーツが素敵だから自分も真似しよう」と思った人と、「自分の世界を表現するにはこのパーツが必要だから使おう」って思った人では、できあがりが絶対的に違うと思うんです。
うーんうーんうまく説明できないなあ。ごめん。
世界を持っている人は、たとえ文章がつたなくても、絵を書き慣れていなくても、絶対作品に魅力があります。
技術は知識と訓練でうまくなるものだから、最初はそれがなくてもいいはず。
もちろん「世界」があっても、それを表現するすべがなくては、無意味にもなってしまいますが。
その辺の努力や、常に努力しようとする意識を持ち続けるのがとても辛くて、イヤになってやめてしまうことも多いと思います。わたしも日々それと戦い続けています。
自分の中にある物語を全部出し切るまでは死ねないと、自分には表現したい物語があるのだと、そう信じて小説を書き続けています。
何か自分が大した書き手でもないのにこんなこと言うのは、ほんとに、思い上がっていて恥ずかしいことですが…この場でだけ小さい声で。
文章はこなれてるけど、心に響かないなあ…とか、絵は上手いけど、どうも魅力がなあ…って感じるのは、世界がない人の作品だと思う。
(単純に好みの問題も大きいと思うんですが。まあ自分が思うところの「世界がある」人の作品が好みってことなのかも)
ご質問をくださった方が、いつかサイトを持ってみたいということなので、こんな話まですみません。答えになってるといいんだけど。なってるかなあ。
あなたに物語があるのなら、ぜひそれを形にしてください。
本当はね、眠る時に見てる夢を必ず誰でも見ているように、物語って絶対誰の中にもあると思うんです。
それに気づくか気づかないかの問題かなと。そんで気づかないのとないのは同じことです。
「何かを作りたい!」って強く思ってる時って、もうその人の中に物語とか、世界は存在してるんじゃないかと思う。それを人に伝えたい、共有したいって感じるのが、創作するモチベーションになるのではないでしょうか。
こんな感じ。いろいろ偉そうですみません…。