もちもちもちもち
わたしの住んでる街の、ありとあらゆるお店が、何て言うか東京とは思えぬような時の流れ方をするのです。
前にも書きましたが、こういう感じでね。
こないだマックに行ったんですよ。うっかり休日前の夕方で、三レジ分お客が全部外にはみ出るくらい行列が出来てました。
自分の分だけだったら並んでまでメシ喰う趣味がないので別のとこ移動したんですが、頼まれものだったので、嫌な予感はしてましたがまあいいかと思って並びました。
のんびりのんびりと進む列、時間をかけて、やっとわたしの前の前の人がテイクアウトの注文終わって、商品ができあがるのを待つため列から離れた。
で、前の人が注文して、その商品を揃えている最中に、レジのお姉さんが急にカウンタから身を乗り出し、前の前のお客さんに声を掛けた。
「お客様、チキンナゲットにただいまお時間かかりますがよろしいでしょうか！」
ってええ！？ それって会計の前に聞かない！？ よろしくなかったらどうするの！？
と多分言われた方も動揺して、
「えっ、あの、どのくらい時間がかかりますか？」
って問い返したら、聞かれた方も何故か
「……！？ ……？？」
っていう顔になって、
「しょ、少々お待ちください！」
と叫ぶなり、フライヤーの方へ走っていった。
「すみません、ナゲットお時間どのくらいですか！？」
って叫ぶ店員さん。しかし芋揚げたりハンバーガー作ってる店員さんたちはなぜかそれをガン無視。
そしたら今度はまたなぜか、残りの2台のレジで接客していた店員さんたちが、アワアワしている店員さんたちのところへ集まって、
「……どうしよう」
「……どのくらいかな？」
「……どうしよう？」
みたいなことを、額をつきあわせてボソボソ話し合い始めた。
その間、三レジ全部放置です。二十人以上いるお客さん完全放置です。
途中さすがに自分が担当してるレジを放っておいたらまずいことに気づいたのか、他のふたりは接客に戻ったんですが、問題の店員さんはひたすらその場をうろうろするだけで、わたしのいるレジの列は完全なる放置プレイです。
しばらくの時が、明らかに三分以上の時間が流れたあと、どっかでタイマーが鳴った。
そしたら店員さん、
「！」
っていう顔になって、お客さんのところに走ってきて、
「お客様！ ナゲットもうすぐ揚がります！！」
って。
もうその場で固唾をのんで見守っていたお客一同、ズコーってなりました。ズコー。
聞かれたお客さんも、何かも笑っちゃって「あ、はい、じゃあ待ってます（笑）」って。
すげぇなと思うのは、これだけの行列ができてて、放置されても、怒り出すお客さんが誰ひとりいないってことです。
むしろみんな、ズコーっとしながらもどっか「ああ、よかったねえ」って顔でニコニコしてたりして、何だこの街？
その後わたしの番がきて、「ダブルチーズバーガーセット一個（ダブチ+ポテト+ドリンク）」と「ダブルチーズバーガー」と「ポテト」を「単品で一個ずつ」注文したんですが、なぜかそれを伝えている間店員さんが「……？」っていう顔をしていたので怪しいなあ、と思って、もらった商品を確認したら、入ってたのは「ダブルチーズバーガーが二個」「ドリンク一個」「ポテトが一個」で、難解な注文をしてしまって申し訳ないなあ、と思いながら「ポテト一個」をもう一回列に並んで注文したのでした…。紙に書いて渡せばよかった。
変な街だな。
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