『東京都青少年健全育成条例改正案』について

これを書いている本日16日現在、リアルタイムで緊急集会のネット中継がなされている中、遅きに失している感もありますが、昨日の創作JUNE系同人誌即売会Jガーデンにて配布したペーパーに掲載した文章を再掲いたします。

 

■インターネット、特にTwitter等ご覧になっている方はすでにご存じのことと思いますが、現在東京都による「青少年健全育成条例改正案」をめぐって急激に侃々諤々の大論争になっております。

『アニメや漫画などに登場する18歳未満のキャラクターも「非実在青少年」と定義し規制の対象にする』という動きがあり、さまざまな作家さん、クリエイターさん、その他有識者のみなさんがこの改正案について危機感を訴え、その叫びに共感した方たちが行動を起こそうとしています。

今日のJガーデンでも、あちこちのサークルさんが周知のためにビラを配っていらっしゃるはずですので、それを受け取った方も多々おられることでしょう。

 

■ネット上、そして今日もイベント会場にて働きかけている方々、そしてそれを受け取り状況の打破に向けて立ち上がる方々の真摯な行動には深い尊敬を感じております。

私も末端とはいえ創作を生業とする者として、一表現者として、多くのみなさんと同様にこの案には呆れと憤り、何より懐疑の念を抱いています。

が、問題の根本ではなく、上澄みだけを取り上げてヒートアップする一部の方の存在にも、同様に危機感を抱いております。

 

■私自身がネット上に氾濫した情報の取捨選択と多方面に対する発信に自信を持てず、準備不足と時間不足で誤った情報を迂闊に拡散する危険を避けるため、現段階ではネット上の公開された場所、ブログやTwitter上で筆名を用いての賛同呼びかけを行っておりませんが、私も改正案には多くの理由により反対です。

同時に、みなさんにも、広くこの問題を知って欲しいと思っています。

 

■そこでお願いなのですが、どうかみなさん『なるべく広く情報を集め、誰かの発言ひとつを頭から鵜呑みにすることは避けてください』。

問題が大きく取り上げられるようになってから、伝言ゲームのように情報や呼びかけが二転、三転、または一部分だけ取り上げて大袈裟に伝えられ、逆に創作者以外の人たちに『規制はやはり必要である』と誤解を与えかねない流れも散見されます。

危機感を持つあまり、それを必死に伝えようとするあまり、身振り手振りが大きくなっている人が少なからず存在するように感じられます。

具体的には「ドラえもんのしずかちゃんのお風呂シーンも規制されるかもしれないんだぞ!」→「そんなことはない」→「なーんだ、じゃあ規制に反対って言ってる人が大袈裟なだけか…」みたいな流れが恐ろしいです。

わかりやすく例に挙げた部分が否定されるだけで、問題の本質を見過ごされる危険があるような気がしてなりません。

同じ条例を前にして、創作者側の危機感(表現の自由に対する規制)と、一般の人の危機感(青少年の保護、育成の阻害)には大きな隔たりがあります。

表現の自由は大前提として保証されなければならないものですが、相手は『青少年の保護』という大義名分を掲げているだけに、その意図がなくとも『改正案に反対』=『青少年の保護に反対』していると取られかねない状況は避けるべきです。

大切なのはただ「大変だ!」と叫ぶことではなく、何が問題で、どこにどう対処するかという点だと思います。

中心に立って東奔西走してくださっている方たちの活動、意図を妨げないためにも、広い情報収集を心懸け、自分の責任の下に、同じ意見の人たちと足並みを揃え、協力しあって、正しく大きな声で意志を伝えるようにしなくてはならないと、自戒も込めて考えています。

 

■ネット上で『東京都青少年健全育成条例改正案』と検索すれば多くの情報、その問題点が出てきます。

それをまとめたサイトもいくつかあり、ニュースでも取り上げられています。

勿論今日会場内で配布された各チラシも有益な情報源であると思います。

『改正案は3月18日に都議会総務委で審議され、19日に採決、30日に本会議で採決が行われ、本会議で可決されれば 10月1日から施行』という予定らしく、様々な意図を感じさせる無茶な日程ですので、詳しいことをご存じない方で、ご興味を持たれた方は、できればイベントから帰宅されたすぐにでも情報収集を開始してください。

 

■また、明日15日には漫画評論家・明治大学国際日本学部准教授の藤本由香里さんによる呼びかけで反対集会が開かれるそうです。

お名前で検索すると詳細がご覧になれると思いますので、行動に移そうと考える方、さらに詳しく知りたいという方はぜひお調べになってみてください。

 

■私も出来る限りの行動は取ります。青少年、表現者、読み手、すべての成長や自由が、偏見や利権の介在しないところできちんと守られるよう、慎重に、効果的に、行動していきましょう。

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Posted by eleki