ブラックフライデーが怖い「ラストマイル」
たまたまのタイミングだったんですが、ブラックフライデーが始まる前に観てよかったし、部屋関連であれこれ買った後に観てよかったです…。
あんまりドラマをっていうかテレビ自体を観なくなって久しいんですが、「アンナチュラル」「MIU404」はドラマ好きのフォロワーさんの呟きなどを見ておもしろそうだな~と思って視聴してました。
実際すごくおもしろいし好きなテイストだったので、ラストマイルも絶対外れないに違いないと思って観に行った。
物語としては大好きで、ちりばめられた違和感が回収されていくところなどが特に爽快だったんですが、テーマ的にはいろいろ身につまされるというか…通販ヘビーユーザーなので後味は全然よくなく、かといって自分にできることは何なのかもわからず、どうしたらいいんや、と思いながら結局ブラックフライデーで楽しく買い物はした。
日本人はもっとストをやるべきだよな、なんで春闘とか昔はあったらしいのに今は騒がれないんだろう、というのをたまたま最近気になって調べていたので、こう、うーん…と複雑な気分を味わいつつも結局いっぱい買ってしまった。顧客に何ができるのか? わからん。
序盤、通販の荷物が届いては爆発するシーンがかなり怖くて、本当に家具を揃えるために毎日何回も宅配業者が来るような生活が終わってから映画を観てよかったなと心から思いました。怖すぎて平常心で箱開けられんわ。
顧客側としては爆弾が怖いけど、でも生きてく上でみんなブラックフライデーに相当するものに圧迫されているんだろうな。世界の仕組みや階層の縮図が「ブラックフライデー」に相当するわけで。ブラックフライデーが怖い。すごい規模のデカいテーマだった。
内容についてあんまり語るとネタバレになってしまうので避けてはおきます。まだ観てない人は何ら情報を入れないまま観て欲しい。
不穏な物語の中、エレナとコウのバディ(?)がとてもよくて、二人のやり取りの空気感が塚原あゆ子×野木亜紀子の真骨頂である。と勝手に思っている。あんまり見ないのに語るな。
ドラマとか映画に限らず、小説や漫画でも「説明のために用意されたセリフだな」ってわかるとスン…と醒めてしまうんですが、かといって現実の会話をそのままなぞると無意味すぎたり間延びしたりしてそれはそれてダルいので、「物語を成立させるために現実に対する嘘をつきながらも現実風に見える会話をする」っていう演出が好きなんですね。好みの話です。リアルよりリアリティがある会話が好き。で、ラストマイルは特にエレナがというかエレナ単独で「こんな喋り方する奴現実にいないだろ」と思うところがあって、それを含めて物語の中の上手な嘘、素敵な演出として気持ちよく嵌まるので、観ていて楽しかった。
あと何より役者さんの造形の美しさが、映画館のスクリーンで観ていて気持ちよかったな~~~!
エレナ役の人の形がすごく好きでした。コウの人の。最近ルッキズムがあーだこーだ言うけどさ、単純に美しいものを大写しで観るとそれだけで寿命が延びるよね。アンナチュラルで石原さとみの顔が好きすぎて内容がまったく入ってこなくて何回か観る羽目になったのは何らかのバグではあると思いますが(私側の)。
アンナチュラルとMIUの人たちがちょいちょい出てくるのも楽しかったです。あの時のあの人がこんなところに! とか。九重…元気か…とか…。
ドラマ視聴してなかったら置いて行かれた気分になっただろうけど、観ていたからこそ映画も観る気になったので、まんまとしてやられてますね。
そういう遊びがあったりするところや、テーマはともかく物語のスケールとしては、映画よりはドラマの方が合ってただろうなという気もするんですが、満島ひかりと岡田将生を大画面で観られたので私にとっては映画で正解だった。
エレナの物語の先をもっと知りたいなあドラマ化してくれないかな。
ストレートに社会を斬る! みたいなテーマのものがあんまり得意じゃないので、あらすじとか前評判とか聞いてたらもしかしたら観に行かなかったかもしれないけど、何も知らんまま観にいってよかった。
同居人が忙しくて観られなかったから、「アマプラに来たら観てね」って言っておいたけどアマプラに来るのかしら…。
そういえばせっかくPontaパス(旧auスマートパス)に入ったんだから月に一度は映画を観よう、と思っていたのにやっとこれ一本観ただけだな。もうちょっと観よう。