★☆北区AKT STAGE「寝盗られ宗介」
『寝盗られ宗介』
作 つかこうへい 演出 時津真人
CAST
小山蓮司 今井彩奈未 尾崎大陸 浅野鼓由希 つかてつお
仲坪由紀子 松本有樹純
栗林広輔 池田大輔 宮﨑聡美 白濱貴子 草野剛
ちょっと時間が経ってしまったけど観劇メモ。
「飛龍伝 2022~愛と青春の国会前〜」でチラシをみかけたのでこっちもチケットを取ってみました。
北とぴあものすごくひさしぶりでした、ひさしぶりすぎて若干記憶が曖昧なんですが多分つかさんご存命の頃、★☆北区つかこうへい劇団で飛龍伝だった…気がする…? 熱海だったかもしれない。
熱海だったかな。やっぱりちゃんと観劇したらブログに書こう。
寝盗られ宗介は舞台で観たことがなかったので楽しみにしていました。
飛龍伝の時も思いましたが小山蓮司は華があっていいな~。つかさんだったらこの色男をどんなふうに育てただろうな、みたいなことを考えつつ観劇しました。
これと大体台詞回しも一緒だった気がするんですが、ラストは流れが違った。そういうバージョンもあったのか、令和に合わせたのかはわからん。
苦労して舞台を作ったんだろうなあ、というのが伝わってきました。
お芝居の感想とは別のとこなんですけども。
つかさんの作ってきたものを表現方法を変えつつニュアンスは変えずに後生に伝えていくのは、難しいんだろうなと思う。
公共の電波に乗るものじゃなくて観ようという意志を持つお客だけが来る閉鎖された空間だから多少コンプライアンス的な部分がアレしてる表現でも問題ない…と理想的な部分で考えるとしても、昭和~平成にその台詞を聞いた時と、今を生きる人が聞いた時の受け取り方がまったく違ってしまうのはどうしようもない部分だし。
つかさんの一筋縄ではいかない表現は、当時の常識を下敷きにした上で捻くれている(とわたしは思っている)んだけど、その『当時の常識』を知らない人がつか芝居を観た時に受ける違和感はもうどうやっても拭い切れなくなっていく気がする。
そして「今の」つかこうへいならどんなものを作ったんだろうなあ、みたいな詮無いことを考えたりもする。
詮無いと知っていても、でもどうにかして、蔑みと優しさの絶妙なバランスが生み出す奇蹟が令和でも見たい。と思います。
観劇の帰り道にどうしてもすぐ小説版を読み返したくなってKindleで買ってしまった。
まったく違うアプローチなのに、小説の読後感とシナリオの読後感が同じなのがすごいというかすさまじい。
つくづく、つかこうへいは物語作りがすごいなあと思うのであった。
全部わかっていてやっている。わかっていることをわかってもらうことは難しいだろうなとしみじみ。
あと最近のご多分に漏れず「差別的な表現があるが差別の意図はない」と書いてあって笑ってしまった。この笑いを共有することももう難しい世の中だろうな~。