手術することになった母が思った以上に新型コロナウイルスの影響を受けた話

母が五月に手術をするという。
一ヶ月ほどの入院を予定しているとのことで、そうなると横浜の病院まで結構な頻度で通う必要が出てくる。

電車で往復三時間弱と手術や検査の時の待機時間でどうにか仕事をできる環境を整えるべくあれこれ覚悟と算段を始めながら、先日手術や入院の説明を聞きに病院に向かった。

そして病院の入口で驚いた。
「マスク未着用の方の立ち入り禁止」
驚くこともないか、そりゃそうだろう。そうだろうけど、「お一人様一枚まで」と書かれたマスクの自販機は売り切れで、院内のローソンも当然ながらマスクの在庫がない。
マスクが手に入らない人はどうすればいいんだろう。

と思いつつさらに別の貼り紙を読むと、
「コロナウイルスの影響により、入院患者の面会は一切お断りしています」
と書いてある。

えっ、一切って、家族も駄目?
今これ私、病院に入っていいの?
医者が家族を呼べって言ってるらしいので、駄目ってこともないだろうけど…。

とにかく詳しいことは直接医師や事務の人に聞いてみようと、母と合流して説明を受けに行く。

するとやはり、現在横浜市内では流行性ウイルス感染症などの流行レベルが3に到ったため、家族であっても面会・付き添いは禁止という状態になってしまっているらしい。
手術当日の付き添いと入退院時の荷物持ちは家族一人まで可、ただし病室には立ち入り禁止。必要になったものを届ける場合はロビーで受け渡しを。

五月の間はおそらく数日おきに病院に行くことになるだろうなと考えていたけれど、そうすると行っていいのは入退院の時と、手術当日の三回のみになるらしい。

幸い準備期間はあるから入院生活に必要なものは母が自力で揃えられるし、パジャマやタオルなど洗濯が必要なものはレンタルがあるし、私が付き添ったところでせいぜい話し相手になるかリハビリを見守ることくらいしかできないので、大した問題ではないのかもしれないけれど。
ただ、私は入院中に付き添いがいなくてもまったく平気な方だけど(むしろ一人の方が気が楽)、父の入院時には毎日母が付き添っていたし、祖父の入院の時も常に病室に誰かしらいたし、母はもしかしたら「入院の時は誰かしらついているもの、一人だと寂しい」というタイプかもしれない。
なので母のメンタル部分が若干心配ながら、そう決まってしまったことは仕方がない。

そしてコロナウイルスの影響ので手術日が早まったという。
何のこっちゃと思ったが、母は手術前の四月に故郷である九州への旅行を予定していたものの、こんな状況だし飛行機に乗って旅をするのもね…ということで旅行を後回しにして、先に手術することにしたそうだ。
これに関しては、手術するなら早い方がいいし、旅行するにも体調がよくなってからの方が楽なのでは? と思うので、娘的には歓迎だけど。
一応は「今後状況が変われば面会についての対応も変わる」と言われたが、五月だったらコロナが収束している可能性も無きにしも非ずだが、四月なら状況が悪くなってることはあっても、よくなっていることはないだろうから、面会不可は変わらないだろうな。

説明を聞き終え、諸手続を終えた病院からの帰り道、母が「入院中に一人で暇を持て余すだろうから、iPadがほしい」と言い出した。
今使っているiPad miniが古くなってもはやOSのアップデートもままならず、読書するならもう少し画面が大きいやつがいいというので、その足でヨドバシカメラへ。

私も使っている無印のiPad(第七世代)が価格的にもサイズ的にもちょうどよかったので、店の人に「これ、包んでくださる?」とお願いするも、「在庫がありません」とのこと。マジか。iPhoneが品薄状態だとは聞いていたけど、iPadも駄目か。

店の人は言葉を濁していたが、どうもこれもコロナウイルスの影響ではと勝手に疑る。工場の閉鎖が増えて生産が追いつかないとか、暇を持て余した人に需要が増えたとか、そんな噂はちらほら聞いていた。
新型iPadが出るから生産を抑えているという話も聞くので、実際のところ何が正解なのかはわからないが。
とにかくセルラー版以外のiPadはすべての型が品切れだという。
(ただ、あとでAppleのサイトに行ったら普通に翌日お届けで注文できそうだったから、本当の理由はわからん。そもそも何もかもが真偽不明な噂なので、私の勝手な憶測である)

ガッカリしてヨドバシをあとにする。
結局入院の時には、先日買った私のFire HD10を貸すことにした。
聞けば母も電子書籍を千冊ほど買っているし、なんだかんだ積ん読が増えているので、入院中は読書をしてやり過ごすという。
Wi-Fiのレンタルはないというので、適当な映画やドラマをダウンロードしておいてあげようと思う。

そんなこんなで、特段騒ぎ立てるようなことでもないけれども、普段引きこもりでコロナウイルスの影響というものをさほど身近に感じず呑気に過ごしていただけに、しみじみとはしてしまった。
あとは、この時期の病院ってちょっと怖いよな、お母さん大丈夫かしら、みたいな心配もあり。
そうはいっても手術が必要なのにあんまり先延ばしにするわけにもいかないだろうから、どうにか無事に退院を迎えてくれることを祈るばかりである。

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Posted by eleki