帝劇エリザベートまとめ
日記に書きはぐっていたんですが(おでかけブログの方には書いてたけど)、先月・今月で四回行ってきました。
ざっくりまとめ。
11/15マチネ
- エリザベート/涼風真世
- トート/山口祐一郎
- フランツ/鈴木綜馬
- ゾフィー/寿ひずる
- ルドルフ/浦井健治
- ルドルフ(子役)/太田力斗
そんなに後ろじゃなかったんだけどものっそい下手だった。何かいっつもエリザって下手側しか席取れない。
で、初涼風シシィですが…正直、最初のパパみたいにで席を立ちたくなるくらい、拒否感が…。
一路シシィとまったく違うのは仕方ないにしろ、どうしてあんな低い声、男らしい立ち居振る舞いなのだ。
一路降板で打ち拉がれていた身に取っては、後釜が涼風さんと知ってすっごいうれしかったんだけどなあ。涼風さんの声と技でシシィが見れる! って楽しみにしてたんですが、あまりのことに座席で力抜けちゃって、まともに見られなかった。
声は少女というよりドスの利いた中年女性、なのに動きは品のないヤンキーみたいで、天真爛漫で愛すべきシシィのイメージからかけ離れすぎ、怒りすら湧いてきた。初対面の皇帝と握手しようとするとこ、なぜか首を竦めて腰を下げてがに股で片手を出すから、仁義切ってるようにしか見えない…。
後半進むにつれて、声と年齢が見あってくるのでだいぶんマシになりましたが、少女時代のシシィが大好きなだけに、悪いイメージのまま見終えてしまいました…。
涼風シシィに期待してたので、四枚中三枚涼風で取っちゃったこと絶望的に悔やんだ。
金トートは相変わらずの安定感というか、去年より声の伸びが出ていてよかった気がする! もうちょっと体絞って欲しかった気もする。
綜馬さんも文句つけようなく素晴らしかったです。綜馬さんの、一途で包容力のあるフランツが本当に大好きだ…!
前も書いたか知らんけど、エリザベートの中で一番好きな登場人物はダントツでフランツです。
でもその思いに応えられないシシィにガッカリすることもできない。どっちが悪いということもないのに、お互いわかりあえないのが切なくて、そういう悲しい雰囲気が綜馬さんによく似合う…。
青年時代の、まじめだけどシシィを知ってキラキラしてる若さと、疲れ切って、それでもシシィを愛し待ち続ける老いた姿まで、まったく違和感なく演じ続ける綜馬さんはすごいなあと毎度感動します。
綜馬さんは歌のうまさも際だってるけど、何より声の質が大好きです。深みがあって、包み込むような声です。フランツらしい!
ウラケンは見るたびにうまくなっていて楽しい。
井上芳雄っていう化け物がいたので、どうしてもそっちと較べてしまうんですが(金トートと井上ルドルフの「闇が広がる」長時間ショーストップは一生忘れられないと思う)、ウラケンもどんどん力つけて、毎回楽しみです。
独立戦争の時のダンスとか、いっぱい! いっぱい! て感じで大好き。
この日でちょうど上演700回記念でした。600回の時も、一路の結婚報告の回もそういえば見られたので運がいいなあ。
閣下の挨拶がとてもかわいかったがしかしちょっと空気読め! とも思った(笑)
綜馬さんの挨拶がなかったんだけど、何のために出てきたのだ…?
11/18マチネ
- エリザベート/朝海ひかる
- トート/山口祐一郎
- フランツ/鈴木綜馬
- ゾフィー/寿ひずる
- ルドルフ/浦井健治
- ルドルフ(子役)/太田力斗
朝海さん以外は前回と同じキャスト。座席もやっぱり前寄りの下手でした…み、見づらい。いっそ二階席の方がよかった。
朝海シシィは、割と一路シシィと解釈が似ているので安心して見られた。そつない、という感じで、動きも(涼風シシィよりも)女性的で、優しげな感じ。
「私だけに」のソロのとこ、「誰にも束縛されず自由に生きるの♪」あたりから、シシィが自我に目覚めて「自分のために生きる…!」って決意したのがものすっごい力強く伝わってきて何かびっくりした。いやそういう歌でそういうシーンなんだけど、一路の時はもうちょっと「少女から少し何かに気づきかけて大人に近づく」っていうイメージだったのが、朝海さんの時は「もう誰にも頼らない!」って、1本鋼鉄が背中に入った感じでハッとした。我が強いだけじゃなくて本当に自立したんだってイメージ。
でありながら、「僕はママの鏡だから」の時にそっとルドルフの乱れた髪を直してあげたり、女性らしさや母親らしさが根付いている、なのに妻にも母にもなりきれない悲哀みたいのがあって、何て言うかとても説得力のあるシシィでした。
一路みたいに、存在自体がシシィっていうか力業の存在感! っていうのも興奮できていいけど、確実に積み上げて行く感じの朝海シシィも素敵でした。
朝海さんはこれ一回、うーん、せめて涼風さんと半々にすればよかったなあとひどい後悔…。
12/18マチネ
- エリザベート/涼風真世
- トート/武田真治
- フランツ/石川禅
- ゾフィー/寿ひずる
- ルドルフ/伊礼彼方
- ルドルフ(子役)/田川颯眞
あれっ、涼風シシィの声が全体的にワントーンくらい高くなってた!!「これだよ!」って興奮した…! 期待していた通りのシシィでした! たまたま前回だけ低かったのかな、それともちょっと変えてきたのかな。よかったよかった。しかし二回目はすでに楽近い日程で、十一月は様子見でよかったらもっとチケット取ろうと思っていたので、今さらであった…。
うおー最初っからこれやってくれよ〜。涼風さんらしい美しい声を堪能しました。
で、黒トート…わたしは奇蹟を見た。あれっ、すっ、すっごいうまくなってない!?
かなり声が出るようになって、伸びも出てた気がする…!!
黒も、まあ一回くらい見ればいいか、と思ってたのを後悔しました。緊張して嫌なのであんまり見たくなかったんですが、去年より全然安心して見られたよ。
どうしても金トートと較べて、身長とか…線の細さのせいで儚く見えるのはどうしようもなく、けど悟った。金トートは黄泉の帝王だけど黒トートは妖精の国の王子様なんだ!
去年から、タケは帝王よりは王子だとは思っていたんですが、さらに妖精の、とつけてとてもスッキリしました!
もう「退屈しのぎ」の時の赤いコートとかさ。あんなの似合うのこの世でタケだけだよ。おかしいよ。妖精でしかありえないよ。
山口さんと違うベクトルで、同じ大きさで、タケも人間じゃない…。
金は残酷と冷徹、黒は狂気と可憐、両方希有な存在じゃないかなあと思います。いいもん見ました。
もう「あと十センチ大きければ…」とは思わない。
フランツはひさびさ禅さん。声と役の解釈は綜馬さんの方が好みなんですが、禅さんの歌も聴いてて気持ちよすぎるので大好きです。
両フランツの対比がとてもおもしろいです。綜馬さんの方がゾフィーに抗うっていうか、ままならなさにどうにか立ち向かおうとしてる感じ。「皇帝は何も決断する必要はありません」って言われた時、綜馬さんは「母上!?」ってゾフィーのこと信じられないって顔で見たり、「結婚!?」ってびっくりしたり。
禅さんは、その驚きが諦めになって、「母に従わなくては」ってぐっと飲み込む感じ。だからシシィとの結婚を決めたのが、フランツの最大の我儘で、そのくらい彼女に夢中だったんだなとわかって微笑ましい。
綜馬さんは段々「国のために自分を抑える」「それがシシィのため」と信じて、いつかそれが報われることを願いながら生きるようになってくのがわかる。情熱が水面下にもぐって包容力になる感じ。まあ全然シシィに伝わらないままなんですが(切ない…)。
禅さんは、物静かだった青年が恋で変わって情熱を秘めたおとなになる感じ。両方シシィが理由で成長したのは同じでも、発露の仕方がちょっと違うっていうか。綜馬さんが動→静、禅さんが静→動(てか、内気→情熱かなあ)。
その最大の見せ場が「悪夢」で、両方ともフランツの迫力にいつもぐわっと胸を鷲づかみされます。禅さんの方がより狂気。
フランツとトートのやりとりももっと見てみたい…と毎度思います。話合わないこともない気がする。
舞台とは全然関係ありませんが、開幕前に通りすがりの知らない人が張り出されたキャスト表を指さして「あ、ほらほら、いしかわだんさん!」って言ってたけど節子それ弾やない禅や!
今回のルドルフは初・伊礼さん。正直歌やダンスはウラケンの方が格段にうまいように見えるけど、存在感は伊礼ルドルフも負けないくらいありました。
そんで浦井ルドルフは間が悪いというか、思いと力もあるのに時代とタイミングと環境が許さなかった感じだけど、伊礼ルドルフは「踊らされるだけの愚直な皇太子」って感じで、見ててより胸が痛かったな〜。まだ浦井ルドルフって、いろいろわかった上での諦観のようなものがあって、自分で全部選ぶことはできたから、「死が安らぎ」であり末期は悲しいけどほっとしたりもする。けど、伊礼ルドルフはただただ可哀想っていうか。トートってひでえやつだなあ、って思う。
そして伊礼さんはとてもガタイがいいので、妖精王子がより可憐に見えました…。
12/20ソワレ
- エリザベート/涼風真世
- トート/山口祐一郎
- フランツ/石川禅
- ゾフィー/寿ひずる
- ルドルフ/伊礼彼方
- ルドルフ(子役)/田川颯眞
トート以外前回と同じキャスト。で、自分的帝都楽日。
涼風シシィはやっぱりよくって、かなり安心して見られました。
そんでもって4列目のセンターという奇蹟的な座席に…!
いやあ、真ん前から見ると全然印象が違うなあ。二階席の時はセンターだったけど、ちょっと低い位置からセンターで見ると、「ここのシーンってこんなことやってたんだ!」みたいのがすごいよくわかって感動した。今さら…。
「死の嘆き」の時、ルドルフの柩が真正面向いていることに初めて気づいた。というか柩自体舞台の真ん中にあることを知ってびっくりした。ずいぶんすみっこで芝居すんなあと思ってたけど、そんなわけねえか。
あと正面から見てやっとわかったんだけど、涼風の動きがヤンキーみたいだったのって、下手から見過ぎてたからなんだな。脚を曲げる動きががに股なので、正面からだと気にならないけど、脇からだと完全に<>こういう脚に見えちゃうんだなあ。なのでこの日はそれがあんまり気になりませんでした。
うーん、これだったらもっとチケット取ればよかった…ホントに11月のは何だったのだ。
最終的にものすごく満足した公演でした。やっぱりエリザはいい! 一路降板とか武田登板で何度も絶望しましたが、結局わたしなんかの心配はおこがましかったという結論です。
もう明後日で終わってしまう…もっと見たかったなあ。様子見とかいってないで力の限り席取ればよかった! 今回一路降板のせいかチケットすごい余ってたんですよね。
一路に戻って来てほしいけど、涼風シシィも朝海シシィも素敵だったので、夢のように倖せです。
あとその他、見た分全体を通しての雑感。
- ルキーニはやっと諦めてくれたのか、「ミルク」の音程下げてくれたので聞きやすかった。いっつも「その美貌が国を救う」の「くに」で高音が出ないで音が外れてそれがとても嫌だったので、今回は安心できました。
- でも700回も同じ役をやってるせいか、悪い意味で慣れてしまったのか、台詞がいい加減に聞こえる時があるので、そろそろルキーニもWキャストにしてくんねーかなと思う。正直。あんまりうまいわけじゃないんだからもうちょっと丁寧にやってほしいなあ。間の取り方とか「こういう感じだろ?」っていうちょっとしたアピールが鼻についてしまう…。
- 大好きな「結婚式のワルツ」の振り付けが変わってしまって心底ガッカリ。シシィたちが、スカートの裾を摘んで男性の周りを三拍子で回るところ、本当に好きだったんだけど…。
- 全体的に振り付け変わってたけど、↑以外はあんまり気にならず、それぞれの組み合わせの差異がわかりやすく出てて楽しかった!
あと何はなくとも俵さん。
今回も俵和也さんに釘付けでした。最初っから最後まで出ずっぱり。で、毎回精神病院での演技が細かくて感動する。群舞で上手な人ってたくさんいるけど、俵さんは別格に見えるな〜。声ですぐわかるというのもありますが。動きのキレや世界観の作り方とか、どうしてもそっちに目が行ってしまうでござる。
来年ウラケンの舞台に出るみたいなので、そっちも見てみたいな。
はーちょっとしか見れなくてほんと失敗したなと思います。一回目で「エリザも駄目かもしらん…」と諦めかけてしまったのでブログにも感想書かずにいたので、思い出しつつ書いた。バカバカ自分のバカ…!!
というわけで大阪公演も二回くらい取ってみました。両方金トート+涼風シシィ+綜馬フランツ+浦井ルドルフ。他にもいろいろ見たかったけどそう大阪まで頻繁には行けないので泣く泣く…。初風ゾフィーを取りはぐっていて、片方は初風さんなので楽しみです。
うう、次は帝都全公演取る勢いでいきます。大阪名古屋も取りたい! もうわたしはエリザをみるために働くよ…! 他の娯楽はがまんするよ…!!!