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朝、実家の父親から電話があって「今から行くから」って。
今からって。
わたし昨日の朝まで原稿やっておりまして、毎度仕事に入っちゃうと煮詰まった時以外は掃除をしようなんて概念も喪失していて、幸い順調にパソコンに向かっていたため最後に掃除機をかけた日も思い出せないありさまでした。
しかも先週の今頃にもひとつ山場を越え、テンションが上がってたので掃除をすっ飛ばして模様替えをしたまま途中で諦めていたり。
たまたま昨日寝る前に掃除機という製品が何に使う道具なのかを思い出し、「そういえば本棚移動してる途中でしたよね、かたづけついでに明日は大掃除をしよう」と決意していたくらいで、まあそんな感じの散らかり具合でした。
「一時間ちょっとで着く」と言われ、まだベッドの中で夢見心地だったところでしたが悲鳴を上げて覚醒。
一時間でどうもこうもありません、干しっぱなしの洗濯物をたたみ、家中掃除機をかけたところで「今高速おりたからあと十分」て。
でも幸いだったのが、去年突然不要物の破棄と整理整頓に劇的な目覚めがあったことでした。最近寒いのと忙しいのでさぼりがちだったとはいえ、かつてのように床可視率5%とかいう恐ろしいありさまではなかったので、一時間の猶予があればそこそこ人間らしい部屋に取り繕うことかができました。
でもさ、未だひとり暮らしに渋い顔をしている父親がもし来る時は、あらまあ奈穂美もしっかりやってるんだな、ってなふうに少しは納得してもらえるように、隙のないもてなしをしたかったんだよ…。
まあ急な来客であたふたする辺り身に付いてないわけですが。
「家にいた頃よりはなんぼかマシだな」と言われたけど、もっと劇的に驚いてもらう予定でした。
ちなみに実家にいた頃のわたしの部屋は、佐山の家の荷物を10倍に増やしたくらいでした。
本棚の4つ並ぶ作業部屋を見た父親が「しかし本は減ったなあ」と感心していたんですが、一緒に来ていた母親がそっと「向こうの部屋がまるまる全部本の置き場だから」とバラしていて台なしでした。
その本の部屋、模様替えの名残でまだ床に本が積まれてたり、段ボールで雑然としていたんですが、ここは見せずに乗り切るつもりだったのに、ふたりが帰った後ふと気づいたら閉めていたはずのドアが開いていたから、見られてたんだろうなあ…。
これも不幸中の幸い、両親ともわたしがオタクなのは知っているので、あれやこれな本を隠さなくても支障ありません。いやもしかしたら父親的には支障あるのかもしれんが。
「厳しくしつけたつもりだったのに、どこでこうなってしまったんだろう」って急に言われました。あ、やっぱり支障あったんだ、ごめんごめん。でもオタクになったのはあなたたちの血だ、確実に。母親がオタクなのは何度かネタにした通りですが(「高耶さんが一番好きなの、直江さんは高耶さんが好きな人だから好き」という言葉は一生忘れまい)父親は父親で航空オタクで無線オタクです。
どこの世界の普通の父親が、自宅の庭に飛行機小屋を作って無線用の鉄塔を建てるというのか。
娘は確実に父親の背を見て育ったよ。
兄の話にもなりました。
「同じように育てたのに、お兄ちゃんはまじめな人間に…」
兄の話もいつかしましたでしょうか。家庭を持ち二児の父である品行方正な兄は、齢三十にして新築マンションを購入、部屋の内訳はリビング、子供部屋、夫婦の寝室、客間、ガンダム部屋。多忙な仕事に就く兄が、遅く帰ってきた真夜中や、休みの日に、ガンプラを作ったりガンダムのDVDを見てシャアごっこをして癒される部屋です。
おまえそれまじめで品行方正なガノタってだけだろ。
「でもお金もかからない趣味だし」
ガンプラとか買えば結構するじゃないの。
「いや一個のプラモデルを半年くらいかけて丁寧に、ひとつひとつのパーツを組み立ててヤスリをかけたり色塗ったり……」
ただの本物だよ!!!
なぜか父と母ふたりから、兄がいかにしてガンダムを愛でているか力説されてしまった。そんな話聞きたくない。
両親は、近所に映画館ができたから、今度ふたりでナルニア国物語見に行くんだ、と言って帰って行きました。
今度来る時はせめて前日に電話下さい。